訪問看護の給料は本当に高い?時給が高い理由と、実際の時給

訪問看護の給料は本当に高いのかを考える看護師のイラスト。記録・移動・物品のコストと電卓
悩む看護師Bさん

訪問看護って、時給いいんでしょ?
病院の求人より300円も高いって聞いたけど。

私も、まったく同じことを思っていました。

「訪問看護は給料がいい」

看護師なら一度は聞いたことがありますよね。

私もそう聞いて、非常勤で始めました。

でも数か月やってみて、あれ?と思ったんです。

ひさ

計算をやり直したら、思っていたのと違う数字が出てきました。

この記事では、訪問看護の給料が「高い」と言われる理由と、実際に働くと「そうでもない」と感じる理由を私の実感と公開されている数字の両方から書きましたので最後まで読んでいただけると嬉しいです。

この記事を書いた人

ひさ

元フルタイム+夜勤あり看護師。40代を前に「このまま夜勤を続けられるのか?」と不安になり、働き方とお金を本気で見直しました。

簿記3級・FP2級 保有

夜勤に頼らない働き方や、看護師が無理なく続けられる選択肢を 実体験ベースで発信しています。

目次

「訪問看護は給料が高い」と言われる理由

求人を見ると、訪問看護の時給は病院のパートより高く設定されていることが多いです。

時給2,000円台の訪問看護の求人を見て「病院より時給が高い。これなら効率よく働けそう」と思って始めました。

でも、実際に働いてみると、高いのにはちゃんと理由があると分かりました。

訪問看護では

・利用者さんの家で1人で判断する場面が多い
・利用者さんのお宅までの移動時間も仕事に含まれる
・訪問後の記録や書類作成がある
・事業所によってはオンコール対応もある
・病院のようにすぐ近くに同僚や医師がいるとは限らない

など、病院とは違った負担があります。

つまり、単純に「病院よりラクなのに給料が高い」というわけではありません。

高い時給には、それだけの責任や負担が含まれている。

求人票では「病院より時給が高い」ということしか分かりません。

実際に働いてみると、その高い時給には1人で判断する責任や移動、記録なども含まれているんだと実感しました。

でも、割り戻すと数字が変わります

私が計算をやり直したきっかけは、記録の時間でした。

訪問看護では、訪問が終わったあとに記録を書きます。

計画書や報告書などの書類作成もあります。

私の場合、毎回1時間ほどかかっていました。

ひさ

そして、その1時間に時給はつきませんでした。

たとえば、時給2,000円で、1日に4時間分の訪問をしたとします。

もらえるのは、2,000円 × 4時間 = 8,000円です。

でも、記録に1時間かかれば、実際に使った時間は5時間。

そこで、実際に使った時間で割り戻してみます。

8,000円 ÷ 5時間 = 1,600円

求人票では「時給2,000円」ですが、実際に使った時間まで含めると、私の場合は時給1,600円相当でした。

並べてみると、こうなります。

何の金額か時給ひさのひとこと
求人票に書いてある時給2,000円病院のパートより高く見える
記録の1時間を入れて割り戻した時給1,600円実際に使った時間で計算するとこうなる
東京都の看護師パート平均時給2,142円求人ボックス調べ

記録の時間まで入れて計算すると、「訪問看護は病院のパートより時給が高い」とは単純には言えなくなります。

少なくとも、私の場合はそうでした

見落としやすい3つのコスト

給料の話をするとき、つい「時給がいくらか」だけを見てしまいますよね。

でも実際に働いてみると、時給だけでは見えない負担がありました。

1. 記録の時間

私の場合、訪問が終わったあとに記録を書く時間が毎回1時間ほどありました。

訪問看護に来て思いましたが、指示書はFAXで送られてくることも多く、計画書・報告書など本当に紙が多い。

そして情報がカルテのようにまとまっているわけではなくてあっちこっちにある。

それを探す、情報を拾うのも慣れないうちは大変でした。

ここが、実際の時給を考えるうえで一番大きいと感じています。

2. 移動の時間と体力

直行直帰の事業所では、移動時間に時給がつかないことがあります。

自転車で訪問先を回ることも多く、天気にも左右されます。

特に雨の日は、移動するだけでも体力を使います。

3. 仕事に必要な物品

これは事業所によると思いますが、私は爪切りと電動やすりを自分で購入しました。

ひさ

処置に使う道具なのに、「これも自分で買うんだ」と正直思いました。

給料を見るときは「時給はいくらか」だけではなく「その仕事に実際どれくらい時間とお金がかかるのか」まで考える。

私は訪問看護を経験して、ここを見ることが大事だと感じました。

「1日でいくら稼げるか」だけでなく、「1日でどれくらい時間と負担を使っているか」まで見る。

このほうが、求人票の時給に惑わされにくくなります。

給料の話をするとき、つい時給の額だけを見てしまいますよね。

でも実際には、こういうものが乗ってきます。

なぜこうなるのか:訪問看護の売上のしくみ

ここからは、もう少し引いた話をします。

訪問看護ステーションの売上は、ほぼ「訪問した件数」で決まります。

そして1日に回れる件数には限りがあるし、報酬の単価は国が決めているので値上げもできません。

普通の商売なら「うちは丁寧だから高いです」が成り立ちます。

でも訪問看護では成り立たない。

質を上げても、単価は上がらないんですよね。

一方で、出ていくお金はあります。

人件費、事務所、自転車や車、保険。

だから看護師一人ひとりの時給を大きく上げるのは、構造としてなかなか難しいのだと思います。

ひさ

私が悪いわけでも、事業所がケチなわけでもなかった。
そう分かって、少し気が楽になりました。

参考までに、2025年の介護事業者の倒産は176件で過去最多でした(東京商工リサーチ)。

倒れているのは、従業員10名未満の小さな事業所がほとんどです。

訪問看護ステーションは、看護師が常勤換算で2.5人いれば開設できます。

でも2.5人では24時間対応は回せません。

開設のハードルは低いのに、続けるハードルが高い。そういう業界なのだと思います。

じゃあ、訪問看護はやめたほうがいいのか

そうは思っていません。

給料が「思ったより高くない」というだけで、病院のパートより低いわけでもないですし。

それに、在宅には病院にはない良さがあります。

生活の場に入って、その人の暮らしごと支える仕事です。

「待っていたよ」と言ってもらえたときの気持ちは、他では味わえません。

ただ、こう思うようになりました。

ひさ

訪問看護は「稼ぐための仕事」というより、
「経験を仕入れる仕事」なのかもしれない。

一人で判断する力、生活を見る目、家族との関わり方。病院では身につかないものが、確実に身につきます。

お金の面だけで選ぶと、たぶん期待とずれます。

でも「何を持ち帰れるか」で選ぶなら、悪くない場所だと思います。

ちなみに私は、訪問看護と単発バイトを組み合わせています。

働く日を自分で決められるぶん、体力の調整がしやすいからです。

よくある質問

訪問看護は未経験でも大丈夫ですか?

私は病棟しか経験がないまま40代で始めました。

正直、最初の1か月はしんどかったです。

ただ「できない」のではなく「慣れていないだけ」でした。

同行訪問の期間がどれくらいあるか、面接で必ず聞いてみてください。

記録の時間に手当はつきませんか?

事業所によります。私のところはつきませんでした。「記録の時間は勤務に入りますか」と聞くだけで分かるので、応募前に確認したほうがいいです。

オンコールは必ずありますか?

非常勤なら免除のところもあります。ただ、人が少ない事業所だと結局まわってくることもあるので、「常勤は何人いますか」も一緒に聞いておくと安心です。

結局、訪問看護はおすすめですか?

お金だけで選ぶなら、期待とずれると思います。でも「病院では身につかないものを持ち帰りたい」なら、悪くない場所です。私はそう思って続けています。

まとめ

求人を見たとき、私は時給の数字だけを見ていました。

病院より300円高い。それだけで「いい職場かもしれない」と思っていたんです。

でも実際に働いてみると、記録の1時間があって、移動があって、自分で買った道具がありました。全部を入れて割り戻したら、思っていた金額とは違っていました。

これは事業所が悪いわけでも、私の要領が悪いわけでもありません。

訪問看護という仕事の作られ方が、そうなっているだけでした。

・訪問看護の時給が高いのはその分の理由がある
・でも記録・移動・物品を入れて割り戻すと印象は変わる
・売上が件数でほぼ決まり単価は国が決めるので時給は上がりにくい
・小規模な事業者が多く倒産も増えている
・お金だけで選ぶと多分ずれる

私はまだ数か月です。

ずっとやっている方から見れば、浅い話かもしれません。

でも、始める前の私が知りたかったことを書きました。

もし今、訪問看護を考えているなら。あるいは、始めてみて「思っていたのと違う」と感じているなら。

それは、あなたの見通しが甘かったからではないと思います。求人票に書いていないことが、多すぎるだけです。

ひさ

私も、働き始めてから知ったことばかりでした。

未経験から訪問看護に入ったときのことや、「つらい」と感じたときにどうしたかは、別の記事に書いています。

よかったら、こちらも読んでみてください。

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